| MC-elder2月分(2002年)特集 |
| 執筆者:村上 太一 |
| 「2002年ロック界のキーワード、AAA(トリプルA)とは、一体なんだ?」 |
今年になってアメリカのロック界の動きを読み解くキーワードとして、盛んに使われるようになってきた言葉にAAA(トリプルA)というものがある。30代、40代のオヤジ・ロック・ファンにとって、歓迎すべき現象が現在アメリカで静かに浸透中。2002年に大ブレイクするといわれる、新しい動きAAAを、いち早く自分のものにしよう。 さて本題に入る前にAAA順応テスト。次の問いにYESかNOで答えて下さい。
1.最近のロックはどれも同じで区別がつかない。
2.昨年のフジロック。ニール・ヤングは見たかったけど、遠かったのでやめた。
3.2時間以上のドライヴはイーグルスを繰り返し聴いている。
4.メロコアってどんな音楽なのか実感がない。
5.60年代や70年代のアルバムがCD化されると気になる。
6.今買おうと思っているアルバムはトム・ウェイツのベスト・アルバムである。
7.正直に言えばMTVビデオ大賞よりもグラミーの方が面白い。
8.昨年のドゥービー・ブラザーズの来日公演は知らないうちに終わっていた。
9.ロックにラップと混ざると違和感がある。
10.最近いいなと思った曲があるが、誰のものかがわからない。
11.今のロックはうるさいだけでつまらない。
12.TV-CMで流れてくるホール&オーツやクラッシュに反応してしまう。
13.最近のできの悪いカバーを聴くとむかつく。
14.メロディがちゃんとしていないと満足できない。
15.中年と呼ばれることに抵抗がなくなった。
以上15問のうち、ひとつでもYESがあれば、あなたは潜在的AAA人間です。期待をもって本文に進んで下さい。すべてがNOという方、この先を読む必要はありません。MENUに戻って、他のコーナーをクリックしましょう。
アメリカはご承知の通り、ラジオ天国。常に古いものから新しいものまで、様々な音楽がラジオを通して流れてきており、すべてのヒットはラジオから生まれるといっても過言ではない。そんな中、今最も注目されている現象があるという。それがAAAなのだ。まず、押さえておかなければいけないのは、AAAというのは一体なんなのか、ということ。これ、実はアメリカのラジオのジャンルのひとつで、ADULT
, ALTERNATIVE , ALBUMの3つの言葉の頭文字から取ったもの。アメリカのラジオは日本と違って専門局化しており、ロック・ステーションであればロックばかり、R&BステーションならばR&Bばかりを放送している。リスナーは自分の好みに応じて、聴きたい局を選ぶというわけだ。日本的に考えると、自分に合った番組を選ぶということになるが、それが局単位で選べるということになる。中にはレッド・ツェッペリンばかり24時間放送している局もあるほど、こだわりの選曲を楽しませてくれる。そんな放送ジャンルのひとつがAAAで、簡単にいってしまえば、10代の頃にロックばかり聴いていて、30代40代になった今でもロックを聴いていたいという人たち。できれば、自分の青春時代の音楽(イーグルスやジャクソン・ブラウン)とともに、最新の音楽も自分の気に入るものだけ聴きたい、と思っているぜいたくな「大人たち」のためのステーション。すなわち「やんちゃなロック中年」を対象にしたロック・ステーションなのだ。
以前ジャクソン・ブラウンにインタビューした時にこんなことを言っていた。「僕はAAAしか聴いていない。何故かといえば、AAAがまさに僕のジェネレーションのために放送している局だからなのだけど、それは単に懐かしいものばかりをかけているということではない。選曲の基準がヒットしているとか、売れているとか言うものではなくて、その音楽にヴァリューがあるかどうかを基準にしているところが素晴らしいのだ。音楽を聴き続けてある程度の年齢になってくると、音楽に求めるものが「ヴァリュー:価値」になってくるんだ。ビートルズやイーグルスももちろん素晴らしいけれど、アイザック・ヘイズやガーシュインも素晴らしい。もちろん新しい音楽の中にも耳を傾ける価値のあるものは存在する。そういった様々な音楽の中からチョイスされた音楽だからこそ、耳が肥えた大人たちを満足させるのさ。」ということであった。このインタビューをしたのが1996年。それから約5年が過ぎ、アメリカではこのAAAがすっかり定着した。(ちなみに言えば、AAAという呼ばれ方のほかに「プログレッッシヴ・アダルト」なんて呼ばれることもあるが、アメリカの業界人の間ではトリプルAという言葉で定着している。)
実際にAAAのフォーマットが登場してからは、既に10年ぐらいたっている。このAAAというのは、音楽のスタイルを表すジャンルではないから、具体的にどんな音楽がAAAなのかということに関しては若干、分かりにくいかもしれない。しかし、少年時代にロックを聴いて育ち、今なおロックが好きだというリスナーにとっては、たとえ流れてくるバンドが知らないバンドであっても、好きになる確率が高いようにできている。このあたりも人気の秘密で、新しい音楽は聴いてみたいけれど、最近のロックはどうも、好きになれない、という大人にとっては、あらかじめ、そういう人用にふるいにかけて、予選を通過したものばかりが放送されているようなものだと考えればよい。星の数ほどある新しい音楽の中から、やんちゃなロック中年が好みそうなものを、より分けて提案してくれる局なのだ。当然、70年代80年代の作品も多くオンエアされるし、その時代の中心アーティストの新譜も対象になる。加えて、ロック中年向きの新人も対象になっているということなのだ。そんな中で、昨年あたりから目に見えて変化してきたことがある。それはAAAに合う新しい音楽が増えてきているということなのだ。
ビルボードが発表した2001年度のシングル年間ランキングで、トップ10にランクされた10曲のうち、4曲がロック・ナンバーになっている。ライフハウス、マッチボックス・トゥエンティ、トレイン、レニー・クラヴィッツの4曲。この4曲、すべてAAAの分野の曲である。すなわち、昨年あたりからアメリカでは、AAAとして認められなければ、つまりやんちゃなロック中年が認めなければ、ヒットしない土壌になってきているのだ。このような状況の中、現在、AAAで評価される新人が次々と登場し、ロック中年にとっては久しぶりに活気のある新譜市場が形成されている。これら次々と登場しているAAAニュー・フェイスに共通して言えることは、一過性の流行にとらわれない普遍性を持っていることで、永く愛せる味わいを持っている点だ。新しいとも言えないかわりに古くさくもない。その絶妙なバランスがロック中年をしてニヤリとさせるのだ。
さぁ、これでAAAが懐かしさをも感じさせてくれるテイストを持った新しい音楽の宝庫だということがわかっていただけだと思う。まさに今、アメリカのAAA市場には明日のスーパースターたちが満を持して待機中で、あなたの声がかかるのを待っている状態なのだ。
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| BURRN!3月号(2002年) |
| 執筆者:村上 太一 |
アメリカン・ミュージック・アウォーズやグラミーと2001年を総括するアウォードが続くこのシーズン。何となくそわそわしてしまうが、昨年の暮れに発表されたビルボードの年間チャートと、年が変わって最初のロック・チャートを眺めてみて、あらためて思うのは今年のヒット傾向を占うキーワードは「トリプルA(アダルト・オルタナティヴ・アルバム・ロックの略)」にあるということだ。ビルボード年間シングル&トラックス・チャートの上位にランクされたロック・アクトは首位のLIFEHOUSEをはじめTRAIN,MATCHBOX
TWENTY,レニー・クラヴィッツと実はトリプルAものばかりなのだ。しかもグラミーの主要3部門を見るとロックでノミネートされているのはTRAIN,U2とトリプルAのみ。ベスト・ロック・ソングのノミネート5曲もすべてトリプルAだし、あらゆるロック部門でトリプルAでないものはLINKIN
PARKだけだ。このトリプルAのマーケットを狙っているのは、何も大人の(ベテランの?)グループだけではない。CREEDやSTAINDといったアーティストは、彼らにとっての主戦場であるメインストリームやアクティヴ・ロックのフィールド
以外に、トリプルAのマーケットを重要視して、リーダー・トラックを選別する戦術をとって成功しているし、CALLING,FIVE
FOR FIGHTINGといったアーティストは明らかにトリプルAを主戦場と見なした活動を展開している。すなわち、今年のアメリカ・ロック界はどうやらトリプルAのマーケットを無視しては始まらないという様相を呈しているのだ。
トリプルAというものは別にジャンルではないから、音楽のスタイルとしては雑多である。元メインストリームといえるスティングやメリッサ・エスリッジのような音楽もあれば、TRAVIS、ベン・フォールズのような哀愁系UKものもあれば、エンヤもいる。だから一般論としてどういうものがトリプルAになるのかという線引きは簡単ではないが、もともとロックを聴いて育った元ロック少年が成長して、ロック中年になったような耳の肥えたリスナーが相手だと思えば間違いはない。やんちゃな大人が愛するロックとして、この分野はますます肥大化していくことが予想される。だからこそ、新人系のバンドで、このマーケットを視野に入れた連中が増えてきているのだろう。このムーヴメント、必ず日本にも上陸する。今からこのキーワードは深く頭に刻み込んでおいて欲しい。時代は確実に「トリプルA」を主流に押し上げるはずだ。
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| ライアン・アダムス特別ウェブへの寄稿 |
| 執筆者:村上 太一 |
| 「AAAってなんだ!?」 |
最近、巷で新しい音楽トレンドのひとつとしてささやかれはじめたものに、トリプルAというものがある。Aが三つでトリプルAというわけなんだけど、これは正確にいうと、ADULT
ALTERNATIVE ALBUM という、アメリカの放送フォーマットのこと。アメリカのFM局というのは、御存知の方もいるだろうが、局によって、専門的に音楽を流している。例えば、ジャズならジャズばっかり、R&BならR&Bばっかりという具合(これをフォーマットと呼んでいる)。当然のことながらロックばっかり流しているロック・ステーションも多いわけだが、その中で最近注目されはじめたのが、トリプルAというフォーマットなのだ。
具体的にどんなものなのかといえば、アダルトというぐらいだから、大人向け。代替25歳から54歳ぐらいのロック・リスナーに向けて放送している。でもって、オルタナティヴということだから、ヒット曲なら聴きたいという受動的なリスナーではなくて、いいものを見つけて聴きたいという能動的なリスナー層をターゲットにしている。つまりは、若いときからずっとロックを愛してきたリスナーが中心ということになる。そしてアルバムということだから、シングルに限らず、いい曲はアルバムの中からもオンエアしていこうというものなのだ。これを大ざっぱに言ってしまえば、「ロックを聴き続けてきた耳の肥えた大人のリスナーにも満足してもらえる、良質なロックを専門的にオンエアしているフォーマット」ということになる。
さて、最近なにゆえトリプルAが注目されているかといえば、日本でもトリプルAの放送局が誕生するということではない。アメリカのトリプルA・ステーションで、よくオンエアされているタイプのものが、今後のロック界の主流になりそうな気配があるし、日本のリスナーにも受け入れやすいものが多いということで注目されているわけだ。
これからの洋楽ロックのキーワードになっていきそうなもの、それが「トリプルA」なのだ。
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