2003年3月28日
Vol.44
「ビートルズとストーンズ、どっちも好き。」
TBSラジオ 編成局
 斎藤 薫

TBSラジオ編成局の斎藤薫です。
入社以来26年、テレビとラジオの現場を、行ったり来たりしている私ですが、仕事の上でも、私生活でも常に音楽と関わって来ました。そのルーツとなったのが、中学2年の時、ラジオから流れて来た、数々の洋楽ヒットでした。その中でも、35年に渡って最も大きな影響を与えてくれたのが、ビートルズとローリングストーンズです。
いうまでも無く、今でも最も人気のある2大バンドですが、意外と、どっちも大好きという人は多くないようです。昔は、ファン同士で論争がくりひろげてましたし、今でも、ポールとストーンズ、どっちのライブにも行った人は意外と少ないんじゃないでしょうか。
でも、私にとっては、どちらも特別な神様です。ビートルズは、たったの8年間で人類史に燦然と輝く功績を残しました。それに対し、ストーンズは、40年間、トップに君臨し、走りつづけています。それだけを取っても、彼らを上回るバンドなんて出てきっこないのです。
さて、去年の秋からこの春にかけて、ポール・マッカートニーとストーンズがやってきました。
ポールのライブは、何と全体の3分の2がビートルズナンバーというオールヒットパレード。ノリまくり、歌いまくりの3時間でした。でも、私の眼には、どうしても、ポールの隣に、ジョンとジョージの影が見えてきて、たった一人でビートルズをやっているポールの姿に胸が痛くなるのです。
きっとポールも、2人がいなくなった今、ビートルズを後世に伝えるのは自分しかいないという使命感を持って、ライブを続けているのでは無いでしょうか。まるでビートルズの語り部というか、伝道師というか、そんなポールの悲痛なまでの想いが胸にせまって来る、どこかノスタルジックでセンチメンタルな気分になるライブでした。
一方のストーンズ、これが本当に平均年齢60歳のバンドかよ、と思わせるくらい、いや、40年の歴史の中で今が最高なのじゃないだろうか、という最高にパワフルでカッコいいライブでした。
今まで何年もの間、荒削りで不良で未完成なところが魅力だったストーンズですが、年を重ね、とぎすまされ、遂には「未完成」という「完成型」を迎えた、そんな感じがします。しかも、過去に振り返るのでは無く、今を生きている、会場に20台、30代のお客さんが多かったのもその証拠でしょう。
あまりに大きなテーマを取り上げたので、とりとめの無い文章になってしまいました。
でも、2013年、70歳になったポールのライブと、結成50周年、70歳のミックとキースのストーンズのライブ、その会場には、盛り上がっている58歳の私の姿があるはずです。

ところで、このエッセイも今回で終わりのようですが、ラストを飾らしていただき、ありがとうございました。またお会いできる時まで、さようなら。

斎藤 薫さんのプロフィール
TBSラジオ&コミュニケーションズ編成局長。1977年TBS入社後、テレビ、ラジオの音楽、バラエティー番組の制作を経て、ラジオ編成へ。
主な担当番組 「ザ・ベストテン」「王様のブランチ」「日本レコード大賞」など
●アーティスト写真、及びジャケット写真の権利は各レコード会社に帰属します。無断転載は硬く禁止します。

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